20年ほど前、カリスマ美容師が流行った頃から美容院に男性客が増えました。
その前までの世代では理容室(いわゆる床屋さん)に通っていたという男性も多くいました。
現在では幅広い年齢層の男性客が美容院に通われているのですが、実際美容院と理容室の違いって今の若い方は知らない方も多いのではと思います。
大まかに言えばどちらも髪の毛をカットし、パーマをかけ、カラーリングをすることが可能です。
しかし、技術内容や営業スタイルなど両者とも大きくかけ離れた決まりごとみたいのがあります。
ちなみに法律も違います。
そこで美容院と理容室の違いについて詳しくご紹介します。
目次
美容院でできること
技術
カット
美容院ではいわゆるデザインカットが主流でボブスタイルやレイヤースタイル、グラデーションスタイルがあります。
また最近ではあまりみなくなりましたが、レザーカットも一時期流行っていました。
またセニングで毛量調整をしたり、スライドカットやストロークカット、エフェクトカットなど多彩なカット技術があります。
もともと美容のカットの起源はイギリスのビダルサスーンの発表したグラデーションボブが始まりで、その後日本にその技術が伝えられる様になりました。
それまではレザーカットでざっくり形をつくり、編みカーラーを巻き温風機、お釜とも言われているものに入ってクリンクリンのスタイルが主流でした。
デザインパーマ
デザインカットに合わせてニュアンス的なパーマをかけることができます。
毛先だけにかけるパーマやデジタルパーマ、エアウェーブ、クリープパーマなど様々なパーマをかけることができます。
特殊系のパーマだとアフロパーマやドレッドなどもそれ専門の美容院でかけることができます。
ちなみにストレートパーマや縮毛矯正も美容院でしかできません。
美容院ではおばちゃんパーマはもちろんできますし、これは国家試験の技術にも出題されます。
多彩なカラーリング
アッシュやマット、ピンクやミルクティー色まで何でも多彩なカラーリングが可能です。
ナチュラルからビビットなカラーリング、ダブルカラー、マニキュア、ヘナカラーなど何でもできます。
もちろん白髪染めも多彩な色味や明るさなどの薬剤を揃えています。
シャンプー
理容室との大きな違いにシャンプー台があります。
美容室のシャンプーは基本的に仰向けになって施術します。お顔はフェイスガーゼで隠し頭部の隅々まで洗えます。
これは普段メイクをする女性のために考えられたシャンプー方法です。
定休日
昔から美容室の定休日は火曜日と決められていましたが、ここ最近は年中無休でスタッフはシフト制をとっているお店が多いです。
ただ、昔みたいに大晦日や元旦に夜遅くまで、朝早くから営業という美容院は減りました。
それは大晦日や元旦に着物を着る方が減ったからです。
そのため、最近の美容院では大晦日から新年4日くらいまでは正月休みとしているところが多いです。
女性の多い職場
理容室に比べ圧倒的に女性スタッフが多いです。もともと女性の技術職だったためです。
最近は新卒こそ女性が多いものの、いざ美容院で働くと男性の割合が多くなる傾向にあります。
それは女性が結婚を機に退職してしまうことが理由の一つです。
美容院の現状
美容院は理容室よりも数が多く、全国に20万件以上あります。
しかし美容師になりたい若者が減っているため、美容院20万件に対し、国家資格で現役で働いている美容師は40万人とされています。
つまり1件の美容院に2人の割合でしか美容師がいないという計算になります。
そのため、土日祝日はどこの美容院も予約がいっぱいで混み合っているのが現状です。
美容院で予約をするとき、特にお気に入りの美容師に指名をしているときは早めの予約をおすすめします。
理容室でできること
技術
刈り上げ全般
理容室といえば刈り上げスタイルが得意です。
スポーツ刈りや角刈りなど美容師が理容師に刈り上げ技術では勝てません。
もちろん刈り上げだけでなくセイムレイヤーや調髪などの技術もあります。
ただしニュアンス的なデザインカットが苦手です。
しかし、時代とともに理容師の技術もその時のニーズに合った技術開発が進んでいると思うので、現状美容院と変わりない技術が可能です。
また、理容室はメンズスタイルを得意とします。
顔剃り
顔剃りは理容室ならではの技術です。
美容師が顔剃りをするのは法律で禁止されていますが、理容師免許には国家試験の課題にでてきます。
パーマ
パーマは美容院と違い、アイロンパーマが主流です。
アイパーやリーゼント、ニグロ、パンチパーマスタイルでこれには理容用のアイロンが使われます。
白髪染め
カラーリングも美容院ほど多彩ではなく、よく見かけるのは白髪染めが多いです。
今っぽい理容室ではカラーの種類も多く取り扱っているところもあります。
シャンプー
シャンプーは基本前かがみの姿勢でシャンプーします。
昔ながらの理容室だと、手前の鏡を横にずらすとシャンプーボールが出てきてそこに前かがみになってシャンプーをしてもらいます。
そのためシャンプー技術も美容院とは大きく違います。
男性はメイクをしないので男性客の多い理容室はこのシャンプースタイルになりました。
定休日
昔から理容室は月曜定休のとこが多いです。
今は美容院同様年中無休のところもありますが、なにせ美容師よりも理容師のほうが圧倒的に数が少ないので、月曜定休にしているお店は今でも多いです。
男性の多い職場
もともと男性客が多い業種ですから、男性スタッフが多いです。
しかし、美容師ブームのときから理容師も理容離れをし、美容免許を再度取り直す方も多かったです。
そのため現在でも男性スタッフが多いのですが、美容師よりも圧倒的に理容師の数は少ないです。
理容室の現状
美容師よりも理容師の数は少なくなっており、昔ながらのカット技術やパーマ技術をもつ理容師さんが減っているのが現状です。
また高齢化も進んでいるため、昔ながらの理容師が減っていくと日本から理容師がいなくなる日がくるかもしれません。
まとめ
髪をカットするという点では同じですが、作るヘアスタイルやできる技術は全く違います。
また国家資格の内容も違います。
「髪のカットは美容院で、顔剃りは理容室で」というように美容院と理容室を使い分けると面白いです。