知っているようで知らない美容師のヘアカットテクニックと種類

美容師のカットには大きく分けてベースと呼ばれる土台作りとニュアンスと呼ばれる質感や量感を決める技術があります。

ベースカット (ベーシックカット)

ベースとはヘアスタイルの形を作る土台作りです。
土台作りの殆どはハサミやバリカンを使って作ります。
この時点ではすきバサミ(セニング)は使用しません。

美容師さんがハサミでカットしただけだと一直線なラインがでます。
でもそれが当たり前なんです。お客様はこの直線のラインがあるパツッとした感じは嫌いだと思いますが、美容師にとってはこれがヘアスタイルを決める重要な部分なんです。

まずこのカットで形を作るということができないと、収まりが悪いスタイルであったり、ハチャメチャなヘアスタイルになってしまいます。
また、このベーシックがしっかりできていないとどんなに軽いヘアスタイルにしても、またパーマをかけてもへんてこなヘアスタイルになってしまいます。
美容師は3年という長い下積み(会社ごとに年数は変わります)を積みながらこのベーシックスタイルを習得していきます。
それではベーシックスタイルにはどのような種類があるのかご紹介します。

ワンレン

ワンレングスボブという最もシンプルなヘアスタイルです。
今若い女の子の間では流行っていますが、このスタイルはかなり昔からあります。

ワンレンボブとはレイヤーなどを一切つけず毛先を一直線に揃えたスタイルのことを言います。
しかしカットだけでブローをしたときに内巻きにしたり、キレイで一直線なラインにカットするのはかなり難しいことなんです。

人の頭は円形ですが、個々に頭蓋骨の形が異なったり、耳の出っ張りなどもあります。
それらを考慮して真っ直ぐ切らなければいけません。

そのため、シンプルだけど奥の深いカットがこのワンレングスボブなんです。
まずこれをキレイにカットできないとはっきり言って美容師失格と行ってもよいほど美容師にとってはポピュラーなベーシックスタイルです。

レイヤー

レイヤーとは要するに段カットのことです。
メンズのカットもほとんどこのレイヤーカットを短くしたものです。
要するに髪の毛をずらしてカットする。引き出すスライシングは頭皮から90度以上のものを言います。

メンズの場合セイムレイヤーと言って頭皮から常に90度に引き出したカットのこと言いますが、このセイムレイヤーと他のベースの組み合わせが主です。
例えばセイムレイヤー+グラボブ、セイムレイヤー+刈り上げなどです。

ボブ

ボブスタイルとは頭皮から髪の毛を90度以内に引き出してカットするものをボブスタイルと呼びます。
前下りのボブや30度や45度のグラデーションボブ、もちろんワンレングスもボブのうちに入ります。

美容師のカットはまずこのベーシックスタイルをしっかりカットできないといけません。
反対にベーシックが下手な美容師はすべての技術が下手かもしれません。

カットのベーシックスタイルは骨格を見極めたり、髪質を見極めたり、量感を見極めたりといろんな気付きがあるのです。
そのためこのベーシックスタイルがうまくカットできないと他の技術にも影響してくるのです。

ニュアンスカット(セニングカット)

ベーシックスタイルがしっかりできたあとで、今度はすきバサミをつかった削ぎがあります。
削ぎのことをセニングと呼びます。
セニングには大きく分けて2つの技術があります。

毛量調整

髪の毛の量をちょうどよい量まで減らして調整してあげることを毛量調整と呼びます。
毛量調整は思にすきバサミで調整しますが、ハサミで調整する場合もあります。
あと、勘違いしてほしくないのは毛量調整は減らすことがメインです。なので量がもとから少ない人の毛量を増やすことはできません。

質感調整

質感調整とは主に専用のハサミ例えば笹刃といって刃先が反り返ったものなど髪をざっくり切らない、削ぎ落とすようなハサミをつかって質感を作っていきます。
ベーシックスタイルのままだと毛先がパツッとなっています。そこへ毛量を調整したとしても、まだ毛先にラインがのこります。
それを鋭角にしていくための作業です。
またこれらの作業は髪の毛の動きにも影響します。
そこで質感調整に使われる技術が次のとおりです。

ストロークカット

スライシングをし髪の毛を束でつかみ髪の下の方からバサバサと髪の毛を削り取る作業で、美容師の感覚と練習が物を言います。

エフェクトカット

エフェクトカットとはハサミの刃先で髪の毛を細かくカットしていき質感や髪の空気感を作り出します。
しっかり何年も練習をしないと大変なことになりますし、お客様に怪我を追わせてしまうこともあります。
しかし、このカットの良い点は髪の毛の削ぎによるダメージを最小限に抑えてくれることです。

削ぎをした髪をマイクロスコープで見ると髪の毛が削られてギザギザし、そこからダメージが進んでいくのですが、ストロークの場合は毛先が細かくしっかりカットされている状態なので、髪のダメージを最小限に抑えることができるのです。

スライドカット

スライドカットは最も初歩的な質感を出すための技術です。
スタイリストデビューしたての子とかがよく使う質感調整です。ハサミを髪に沿ってスライドさせながら髪を削り取る技術です。
一番簡単です。

まとめ

美容師のカットは約30分程度、ベテランさんだと15分程度で終わってしまいますが、実はその短時間にこれだけの技術をこなしているのです。
そのため、ブランク無しで10年以上続けている美容師さんは早くて上手いのです。
「この美容師カット早すぎ!」「ちゃんと切っているの?」とは思わないようにお願いいたします。

美容師のカットの種類を知ることで今どんな場面をカットしているんだな~とかわかるようになってきます。
そう思いながらカットを眺めているのも結構面白いです。